第5章 平穏な、日々
side菅原
ずっと、ずっと見てきたからわかる。
ずっと、好きだったからわかる。
大学で出会ってから7年、ずっと。
今、文乃は何か1つのことを見てる。
それで苦しんでる。
それが何かは俺にはわかんねーけど…
でも、
でもさ、
時々不安になる。
本当に俺で良かったのか、とか、
結婚して3年、本当に幸せにしてやれてるのか。
文乃は強いから、人に頼ることをしない。
けどさ、俺、旦那。
少しは甘えてもいーべ。
悩んでること、相談してくれてもいーべ。
抱えてるもの、少し分けてくれたっていいべ。
他では完璧でもいいけど、俺の前だけでは肩の力抜けばいいのに。
そう、考えながら俺は、寝息を立てる文乃の髪を撫で、頬にそっと唇を落とした。
ぽそり、文乃が何かをつぶやいた気がしたけれど、俺にはその声は小さすぎて聞き取れなかった。