第4章 2人きりでのイケナイ遊戯
乾く喉を潤すように
何度もなんども名前を呼んだ。
お互い涙をこぼしながら
なんども求めあった。
名前と、すき、を何度も叫んだ。
記憶があるのは明け方、うっすらと水平線が明るくなってきた頃まで。
ふ、と目が覚めた頃には外はすっかり明るくなっている。
食事の時間まで1時間半。
隣の灰羽くんはぐっすり眠っている。
すっかり赤くなってしまった目尻。
そっとそこを撫で、私は目の前の温泉へと向かった。
「ごめんね、灰羽くん。」
ーーーーーー
あの後私よりも少しだけ遅く目覚めた灰羽くんと一緒にお風呂に入り、朝ご飯を食べた。
それから少しだけゆっくりして、私たちは宿を後にした。
観光地を手を繋いで周り、美味しいものを食べ、笑いあった。
遅くなる前に、と5時の新幹線に乗り東京へと戻る。
新幹線の中ではずっと手を繋いでいた。
離したくない
離れたくない
それでも新幹線は時間通りに東京駅へと着いた。