第4章 2人きりでのイケナイ遊戯
「すき」
灰羽くんが好き
思った言葉を口に出し、喘ぐ。
ふと、灰羽くんの動きが止まった。
私、何か言ったかしら。
ふわふわと浮かされた頭を整理して言った言葉を思い出し、驚愕した。
「っ!違っ!」
「はじめて…言ってくれた…」
逃げようとした私の背中にぱた、ぱたと雫が落ちる。
肩越しに後ろを振り向けばグリーンの瞳から大粒の涙。
「はいば…くん…」
「椎名っ…さん…これだけは……絶対言ってくれなかった…から…」
言わなかった…
いや、言えなかった。
言ってしまったらきっと引き返せない。
セックスだけの関係だけだなんて言えなくなる。
「好きっす…椎名さんっ…好きっ…」
思い出したかのように灰羽くんは私の腰を持ち奥を打つ。
「だ…めぇ…はいばくっ…」
一度離れようともがくけれどがっしりと掴まれた腰は全く離れようとしない。
それどころかイかせようとリズムよく私の奥を穿つ。
「まってっ…はいばくんっ…」
「待ちましたっ!いっぱいいっぱい!」
灰羽くんの苦しそうな声。
「ずっと待ってました。好きって言葉…」
絞り出すような声。
「今だけでいいから…好きって…言って?」
ぽろぽろ涙をこぼしながらも動きを止めない灰羽くん。
そんな風に言わないで。
「すき」
本当のことを言いたくなってしまうから。
「はいばくん…すき」
「もっと…」
「すき」
今まで言わずに押しとどめていた「すき」の気持ちが溢れ出す。
「すきよ、はいばく…」
「名前で呼んで…ください。今だけ…」
「リエーフくん、すき。」
「俺も好きです。文乃さん。」
すき、が止まらなくなった。