第4章 2人きりでのイケナイ遊戯
20分ほど電車に揺られ、下車。
バスに乗るまでは25分程度の余裕があるので、ベンチに座りながら少しだけ荷物の整理。
それでも時間が余ったので先ほど買ったおまんじゅうを1つ取り出し半分に割ると灰羽くんに渡す。
「食べれそう?」
「食べます!」
あーと口を開ける灰羽くん。
その口に半分にしたおまんじゅうをほいっと入れてあげるとふにゃりと顔を緩ませる。
その顔が可愛くて髪の毛をくしゃりと撫でるとその手にすり寄ってくる。
「甘えてるの?」
髪の毛を撫でる手を少しずつ下ろしていき頬を撫でると、私の手に灰羽くんの手が重なった。
「今は甘えさせてください。
その代わり、夜は俺にたっぷり甘えてくださいね?」
瞑られていた瞳が薄く開き、私を捕らえる。
とくん、と心がときめく。
頬に熱がともる。
私は誤魔化すように手に持っていたおまんじゅうを慌てて口の中に入れた。
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その後、来たバスに乗車。
40分ほど揺られ、下車。
スマホの地図アプリを見て歩くこと数分。
大正ロマンの雰囲気の素敵な佇まいのお宿が見えて来た。
3時をすぎたので、そのままチェックインをし部屋に案内してもらう。
素敵な中庭を通り、部屋の入り口を開けていただくと広がる素敵なお部屋。
ちなみに全ての部屋が離れのような仕様になっているので隣に気兼ねすることはない。
部屋に内風呂、露天風呂のついた、完全なプライベートルーム。
食事も部屋食のプランにしたので自分達で外に出なければずっと2人きり。
案内を終えた中居さんが部屋を退室したのを見届けると、冷蔵庫にワッフルを入れ、スーツのジャケットをハンガーにかける。
お茶とお茶菓子が置いてある和室の座布団に腰掛けると、ふ、と気持ちが緩んだ。
「2人きり…ですね?」
私の正面に座った灰羽くんがそう言うから、私はくすりと笑った。