第4章 2人きりでのイケナイ遊戯
私達は駅のお店を散策しながらお弁当や飲み物を購入する。
1時間かからない距離なので控えめに…と言ったからか、灰羽くんはお弁当は控えめに1つとお茶を購入した。
私はホットのコーヒーと旅館に着いてから2人で食べようとワッフルケーキを10個購入。
それらを持ち、あらかじめ取っておいたチケットで新幹線に乗り込む。
時間指定はしなかったので自由席だったが、発車するまで時間に余裕があるため1番後ろの席に座ることができた。
灰羽くんは発車する前から早速お弁当を広げている。
ちなみに灰羽くんのお弁当は、駅弁ランキングで常に1位を独占しているあのお弁当。
「駅弁って移動中に景色見ながら食べるものじゃないっけ…」
そうツッコミを入れても灰羽くんの箸は止まらない。
「だって腹減ったんすもん。」
お弁当から顔をあげた灰羽くんの頬にはやはり…と言っていいのか、ご飯粒が…
頬についたご飯粒をとってあげれば、指先で摘んだご飯粒が灰羽くんの口へと飛び込んだ。
「ご馳走様です。」
私の指先をぺろりと舐め、遠ざかる唇。
目を細め笑う灰羽くんに頬を赤く染めれば、灰羽くんはくすりと笑った。
「旅行、楽しみです。」
そう、灰羽くんが私に言った時、ゆっくりと目的地に向け新幹線が動き始めた。