第4章 2人きりでのイケナイ遊戯
side灰羽
言い過ぎたかな…
そう思い振り返れば椎名さんの瞳から、ぽろり、涙が溢れる。
「そんな風に思わせていたのなら…ごめんなさい……」
涙をこぼしながらも無理をして笑顔を作ろうとする椎名さん。
「無理言ってごめん。仕事、戻りなさい。」
私は後で戻るから。
そう言って椎名さんは俺の背中を押し、俺を部屋から出した。
ぱたり
閉じた扉の向こうからはすすり泣く声。
傷つけることを言った自覚はある。
でも、泣かせるつもりはなかった。
本当はすぐに部屋の中に戻って椎名さんを抱きしめたい。
涙が収まるまで腕の中に閉じ込めておきたい。
ドアノブをひねれば、いつのまにか掛かった鍵が道を阻む。
「椎名さん…」
突き放したはずのココロが痛い。
どうしてそんなに辛そうに泣くんだ。
「…先、戻ります…」
中にいる椎名さんに聞こえるように言うと、俺は泣く椎名さんを置いてその場から離れた。