第4章 2人きりでのイケナイ遊戯
side灰羽
俺は耳を疑った。
椎名さんの言っていることが理解できなかったからだ。
「だから、今週の土日、貴方の時間を私に頂戴?」
俺は旦那には勝てない。
だから好きでも身を引こうと思った。
それなのに…
「貴方と私の関係を知らない場所に行きたいの。」
そんなことを言われたら、期待しかできない。
「っ…何故…ですかっ。」
椎名さんから目をそらし、そう聞けば、俺を背中から抱きしめ、ぽそり、呟いた。
「寂しいの。」
目の前が真っ赤になったような気がした。
衝動的に抱きついた腕を振り解いていた。
「馬鹿にしないでくださいっ!」
俺は
俺は好きだから椎名さんを諦めたんだ。
「俺はっ!俺は…そんなに、都合のいい存在ですか…」
苦しくて
息を吐き出すように言う。
「言えば抱いてくれる…お手軽な存在…ですか…?」
辛くなって吐き出すと、椎名さんは困ったような顔をする。
「用がそれだけなら仕事に戻ります。」
苦しくて
一緒にいるのが辛くて会議室のドアノブを掴んだ。
「ごめんなさい…」
泣きそうな声が、会議室に響いた。