第3章 夏
そして、8月13日。
いつもの時間にタイムカードを押す。
面倒だからと朝と昼の食事はオフィスで食べるつもりで買ってきた。
お昼に食べるパスタとサラダは休憩室の冷蔵庫に。
近くのハンバーガー屋さんで購入した朝メニューのセットの袋を持ち自分の席へと座る。
「肉に甘さが加わるとなーんか俺はイマイチなんだよなー。」
そう、孝支に言われてからなんとなく手が出しにくくなったメープルシロップがマフィンの生地に入っているタイプの朝限定のバーガー。
今朝、ハンバーガー屋さんの前を通った時にふと思い出し買ってみた。
大学生の時これが食べたくて、わざわざ早起きして大学の最寄駅の近くにあったハンバーガー屋さんに寄って、バーガーとハッシュポテトと飲み物のセットを店内で食べていたことを思い出す。
昔炭酸だった飲み物は今日はアイスコーヒーに変わっている。
早速包みを開けて頬張ればパティのしょっぱさとマフィン生地のメープルの甘さがマッチして「そうそうこの味!」と昔を思い出させてくれる。
最近改良されたらしいコーヒーは前にも増して美味しくなっているし、ハッシュポテトの外はカリカリ、中のホクホク感はたまらない。
そんな風に1人朝食を楽しんでいると、9時ギリギリにぱたぱたと灰羽くんがオフィスに駆け込んできた。