第15章 離婚、する
子供みたいに泣いたことと、プロポーズを受けたことが恥ずかしくて誤魔化すように煽ったお酒。
かなりハイペースだったからか、食事が終わる頃には足元がふらり、ふらつく。
「大丈夫…ですか?」
心配する灰羽くんをよそに駅方面へと歩き出す。
「だぁいじょうぶ。」
お酒のせいで回らない頭が身体を軽くさせる。
かつりかつりと鳴るヒールがやけに軽い。
身体が前のめりに進んでいく。
「っ!危ないっ!!」
がつり
目の前の小さな段差に気づかず、前のめりになる身体。
あ、と思った刹那、腹部に加わる重力と熱。
お酒のせいか、触れられた箇所がいつもより熱くて、ずぐり、と身体が疼いた。
それは私だけじゃなかったようで、密着した背中に熱く硬いものが当たる。
「…シて?」
灰羽くんだけに聞こえるように呟いた2文字。
その答えもやはり2文字で、答えを聞いた私はそのまま身体を反転させぐいと上に伸びた。
私の意図に気づいた灰羽くん。
190の長身が少しだけ近くなり、唇が重なる。
外、だなんて関係ない。
今、欲しい。
冷えてつめたくなった唇が
お酒で熱を持った口内が
絡む熱い舌が
脳をシャットダウンする
「家、ここから、近いの。」
「行き、たい。」
「ん、いこ。」
止まらないキスの合間。
途切れ途切れに呟いた言葉
舌の絡まりをほどき
指をしっかりと絡ませると
私たちはタクシーを止めるために大通りへと向かった。