第15章 離婚、する
灰羽くんが案内してくれたお店は、居酒屋ではあるものの大衆的なところではなく、どちらかというと京都の和食処のような雰囲気だった。
案内された個室に入るまでの小道も、室内なのにまるで京都の小道を歩いているような雰囲気。
「ごゆっくり。」
案内してくれた店員さんが私たちにそう伝えると、私たちは2人きりになった。
「…で、どうしたの?」
久々の食事。
ここ2〜3ヶ月は誘われても忙しさでずっと断っていたから。
私が問えば、灰羽くんはえっと、あの、と呟いたあと目線を彷徨わせ、そしてメニューを出した。
「まずはメシにしませんか?腹減っちゃって。」
私にもメニューを渡すとおすすめを何種類か指差して行く。
お刺身、鍋物、揚げ物などを指さされ、その中の数点を選べば灰羽くんは店員さんにアルコールも含めて注文した。
すぐに運ばれてくるお通しとアルコール。
私にと灰羽君が頼んでくれたカクテルを一口飲む。
飲んだことはあるが名前を思い出せない。
「灰羽君、何頼んでくれたの?」
そう問えば、灰羽君は視線をキョロキョロさせた後ぽそりと答えた。
「スクリュー…ドライバーっす…」
「そう。」
なぜこれにしたのか、気になってスマホに手を伸ばしたが、そのタイミングで料理が運ばれてきたためそのまま私は料理を取り分けることにした。