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秘密のあいらぶ・ゆー【HQ】

第15章 離婚、する



side灰羽

居酒屋のドアを開け店員に話をすれば通される個室。
今日は俺の方が先らしく部屋には誰もいなかった。
下座に座りメニューを見れば以外と俺好みの料理が並んでいた。
あれ食いたいな、これ食いたいな、そんなことを考えていれば不意に聞こえたノック。

お連れ様がいらっしゃいました。

どきりとなる心臓。
緩んだ背筋がぴんと張る。
ドアの方をむけば、菅原ふわりとした笑顔を俺にむけ入ってきた。

「年度末で社内ばたばたでさー。
呼び出したのこっちなのにごめんなー?」

そう言いながら菅原さんはカバンを下ろしジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めた。

「いえ、何食います?」

俺は菅原さんの前に広げたメニューを出し、自分もメニューをみる。
前回は竜田揚げとかシーザーサラダ、あとは卵焼きと刺身だったっけ…

今回もそんな感じで頼むのかな、そう思っていれば俺に打診が来た。

「なあ、灰羽って辛いもの…好きか?」

「…は?」

俺への嫌がらせなんだろうか。
辛いもの食わせてヒーヒー言ってる姿笑ってやる、とか?

きっと変な顔してたんだろう。
菅原さんは質問した時の少し真剣そうな顔をくしゃりと崩し笑う。

「ああ、罰ゲームとかじゃねーよ?俺が辛いもの食いたいからさ。
灰羽も食うかなって思って。」

この爽やかそうな人が辛いもの?
と疑問を持ちながらも辛いものは苦手だと伝えれば、わかった、と一言言い店員を呼ぶ。

注文したのはこの店で一番辛い麻婆豆腐。
それに加え、おでん、焼き鳥、刺身などを注文。
そして、冷えたビールがすぐに届いた。

「仕事お疲れ様、そんで来てくれてありがとうな?」


にこやかにジョッキをこちらに向けてくる菅原さん。
俺も自らのジョッキを傾け、カツン、と当てる。

苦味を一気に喉に押し込めれば、体の疲れが少しだけ取れた。

最初はたわいもない話。
会社の業績やら仕事の話。
自治ニュースだったりの話をうまく回して行く。

途中、届いた麻婆豆腐の匂いに悶絶したり、それをパクパク普通に食べる菅原さんに少し引いたり…

注文していたお皿がもうすぐ空になろうとしてる時、菅原さんは俺の名前を呼んだ。




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