第2章 罪悪感
結論から言うと、灰羽くんは寝ていた。
部屋のベッドの上で。
ちなみにスマホは充電はされているが音声オフ。
そりゃあ電話しても聞こえないわ。
とりあえずその場を離れ、玄関で黒尾に連絡。
灰羽くんは今日は有給入れてくれるらしいのでこっちの心配はしなくてもいいとのことだった。
通話を終了させ、室内に戻ると灰羽くんを起こしにかかる。
「灰羽くん。」
肩をとんとんと叩くが反応は無し。
ふと顔を見れば目元が赤い。
泣かせちゃった…
その事実に胸が痛む。
「ごめんなさい。灰羽くん。」
そっとプラチナの髪に触れる。
乱れた髪の毛を梳くように撫でると灰羽くんの体がもぞりと動いた。
「んあ…」
お目覚めのようだ。
グリーンの瞳を薄ぼんやりと開き、目をしぱしぱさせる。
「おはよう、灰羽くん。」
目の前に私がいることが理解できないらしくまた目をしぱしぱさせる灰羽くん。
「おはよう…ございます…」
「さて、灰羽くん。今何時でしょう。」
私がスマホのトップページを見せると、灰羽くんの顔色が変わる。
慌てて充電された自分のスマホを見て、着信履歴の多さに顔を真っ青にさせた。
「俺っ!遅刻っ!れんらくっ!」
焦った顔で起ち上がった灰羽くん。
慌てて動こうとする灰羽くんにため息を吐くと、私は彼の名前を呼んだ。
「ねえ、灰羽くん。なんで私がここにいるか…わかる?」
「え…」
会社に遅刻していること、私が灰羽くんの自室にいること。
様々な事柄が頭の中をぐるぐると渦巻いているようだ。
とりあえず私をベッドに座らせ、黒尾に言われて様子見に来たこと、灰羽くんが起きる前に会社に連絡を入れて本日は有給を入れてもらっていることを説明した。
「すいません…」
「たまにはそう言うこともあるでしょう?
今日はゆっくり休みなさい。」
そう言って、私はさっきスーパーで買った袋を灰羽くんの膝の上に置く。
「はい、朝ごはん。時間的にはお昼になっちゃうけど。」
じゃあ帰るね?
そう伝えてい立ち上がり、玄関に向かおうとした。
「ちょっと待ってくださいっ!」
私の体は灰羽くんに抱きしめられ玄関に向かうことを止められた。