第2章 罪悪感
「は?無断欠勤?」
会うのが気まずいな…なんて思っていた次の日。
彼…灰羽くんは仕事に来ていない。
ちなみに連絡もなく、こちらからの連絡も取らないらしい。
「なあ椎名、家行って様子見て来てくんね?」
上司…同期入社のエリート、黒尾が自席でにやりと笑う。
「心配だったら自分で行って来なさいよ。私昨日の取引先との資料まとめなきゃいけないの。」
そう言って席に戻ろうとした。
そんな私に悪魔の囁きが聞こえてくる。
「灰羽の家行って無事を確認してくれるんだったらいつ帰って来ても…むしろ帰ってこなくても就業時間に俺がタイムカード切ってやる。」
ってことは今日1日オフィスで仕事しなくてもお給料が入るってこと?
「さらに明日は土曜だ。
資料は月曜提出で構わない。」
これは…
言い方は悪いけれど今日1日はフリー。
最悪、仕事を土日に回してしまえば今日は何もしなくてもいいってこと。
正直、昨日の外回りと灰羽くんとの1件で体は疲れ切っている。
もう灰羽くんと会うのが気まずいとか言ってる場合じゃないか…
「行ってくればいいんでしょ?」
そう言うと黒尾は胡散臭い顔を笑顔にして私を見る。
「やっぱり椎名はそう言ってくれると思ったよ。ちなみにあいつの家の鍵はあいつん家のポストん中な。」
「何で知って……了解しました。では、灰羽くんと連絡が取れ次第こちらに連絡を入れます。」
「おう。行ってこい。」
黒尾と話を終えた私は自分の席に戻ると、今まで広げていた資料を鞄に入れ、会社を後にした。