第13章 会社を辞め、ついて行く。
まだ静かな街を、歩く。
土曜の朝。
人通りもまばらな街を、並んで歩いた。
きっと灰羽くんは何か言いたいだろう。
でも、何も聞かない。
何も言わせないようにして駅に着いた。
ICカードを改札にかざし、ホームへと降りる。
灰羽くんも私の後ろをついてくる。
着いたホームはがらんとしていて、人ひとりいない。
なかなかこない電車を待っていればくしゅり、と後ろから聞こえたくしゃみ。
「いや…寒いとかじゃないっすから…」
強がる口調とは裏腹に冷えて赤くなった指先。
本当、手のかかる後輩ね。