第13章 会社を辞め、ついて行く。
時って本当に残酷だ。
あっという間に始発の時間。
シャワーを浴びようと立ち上がった私の身体を、灰羽くんが引き寄せる。
「もう…おしまい。」
「嫌だっ!だってここを出たらもうっ…」
そう言って灰羽くんは果て過ぎて立ち上がらなくなった自分の陰茎を無理やり膣に押し込もうとする。
道を開こうと差し込まれた長い指を伝って、中に放出された精液が虚しく床に垂れた。
「もう…おしまいよ。」
セックスも、関係も。
「離したく…ない……」
そう嗚咽する灰羽くんの目元は泣きすぎて赤に染まっている。
灰羽くんから離れた私は、洗面台に置いてあったフェイスタオルを濡らし灰羽くんに手渡した。
「目元、冷やしなさい?その間に私はシャワー浴びてくるから。」
灰羽くんは渋々だがタオルを受け取り目元に当てた。
それを見て私はお風呂に向かう。
しっかり身体を洗い、抱かれた痕跡を消す。
灰羽くんの涙が落ち着くように
少しだけ時間をかけて
しっかりお風呂に浸かった。
お風呂を出た後、灰羽くんもお風呂へ押し込み私は身支度を整えた。
下着をつけ
Yシャツを身につける
新しいストッキングを身につけ
タイトスカートを履く
洗面台に備え付けてある化粧水と乳液を顔に叩き込むと
いつもより丁寧に化粧を施した
髪を束ね
ジャケットを羽織り
仕上げに赤いルージュを塗った
「…椎名……さん。」
振り返れば、髪の毛からぽたぽたと雫を落としながら
目元を赤く染めた灰羽くんが
バスルームから顔をのぞかせていた。
「帰りましょう?灰羽くん。」