第13章 会社を辞め、ついて行く。
一次会が終わり、二次会…という名のカラオケ大会のために私達は歩いて移動を始めた。
ざわざわとはしゃぎながら移動をするみんなについて行く中、私は1人後ろを歩く。
最後だし、付き合わなきゃな。
なんて思いながら歩いていれば、とんとんと肩を叩かれた。
振り返ればやはり赤葦くん。
「さっきはすいませんでした。」
言い方が棒読みなんだもの。
すみませんって謝ってるようには聞こえないわよ。
「すいませんだなんて思ってないくせに。」
「あ、やっぱりわかります?」
はあ、とため息をつけば、赤葦くんが話しかける。
「灰羽と話しないんですか?」
ふ、と前を向けば最前列で黒尾や女子社員とはしゃいでいる灰羽くんが見える。
その笑顔が眩しくて、私は目線をそらした。
「しないわ。する必要がない。」
「でも椎名さん、辛そうな顔してますよ。」
え…
顔を隠すようにそらすけれど、それすらも言い訳のようで唇を噛んだ。
「最後くらいちゃんと話をすればいいんですよ。」
着きましたよ。
赤葦くんはそう言うと私の横をすり抜け前にいる同僚に話しかけにいった。
話したって意味がない。
だって、離れがたくなるもの。
私もみんなの後を追って、カラオケ店の中に入った。