第13章 会社を辞め、ついて行く。
「椎名のますますの発展を願ってー」
「「「かんぱーい‼︎‼︎」」」
職場に近い綺麗目のバルでの送別会。
女子社員がメインとなって会場を手配してくれたため、送別会はいつものような飲み屋での飲み会、の雰囲気は全くなし。
おしゃれなバルでの飲み放題食べ放題となった。
久々にスパークリングワインなんて飲んですごく楽しく過ごすことができた。
男子社員からはスープジャーとお箸、スプーンフォークのセットが2セット色違いをプレゼント。
女子社員からは有名ブランドのハンドクリームとシアバターのセットをプレゼントしてもらった。
上司である黒尾からは私の名前が入った万年筆を個人的にいただいた。
飲み会後半。
少し酔ってきた私は近くにある椅子に座った。
スマホをポケットから取り出し着信がないかを見ていれば、画面に影。
「本当に大人気ですね、椎名さん。」
後ろから声をかけられ振り返れば、そこに赤葦君がいた。
「そんなことないわよ。赤葦くん。」
くすり、笑った赤葦くんは隣の空いている椅子に座ると私に向き合う。
「それはそうと、どうして仙台に?」
「言ったじゃない、旦那の会社の都合だって。」
気まずくて視線をそらせば赤葦くんはみんなに気づかれないよう、シャツの上から私の背をなぞる。
「それ以外にも…ありますよね?」
つつ、とブラのホックに指を置いた赤葦くん。
言わなければきっとこれを外すつもりなんだろう。
「あの後孝支に…旦那ににばれたのよ。
それで転勤の話持ち出されて…
ついていかないなんて選択肢、出せるわけがないじゃない。」
「まあ、そうですよね。それについて灰羽と話は?」
ブラに重ねていた指が外れる。
「してないわ。だって…決心が揺らいじゃうじゃない…」
ぽん
肩に手が乗る。
そちらを振り向けば
そこには灰羽くんがいた。