第13章 会社を辞め、ついて行く。
年始開け最初の出勤で、上司である黒尾に孝支の異動について行く話をした。
黒尾は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにいけ好かない顔で笑う。
「後輩、一人前にしてから辞めろよー?」
「はいはい。でも灰羽くん、中々動けるようになってるでしょ?」
「まあな?でももう少しだな。椎名の仕事の引き継ぎまでやって完璧だろうな。」
冗談めいた口調がなぜか嬉しかった。
引越しのことを考え、会社は2月末で辞めることに孝支と話をしていたのでそれを黒尾に伝えれば、次の週には私の送別会が3月の最初の金曜に開かれることが決定していた。
仕事中、ずっと何か言いたげに私を見る灰羽くんを
私はずっと無視し続けた。