第13章 会社を辞め、ついて行く。
「ついていく。孝支のそばにいるよ。」
そう私が伝えれば孝支の顔はぱああと晴れる。
でもその顔は一瞬ではっとした顔に変化した。
「でも、文乃…仕事…」
あなたはやっぱり私のことを気にしてくれるんだね。
だからこそ、私は孝支の側にいなきゃいけない。
裏切った分、これから力にならなきゃいけない。
「転勤…4月から仙台に異動なら引き継ぎもなんとかなると思う。
それに、私は”孝支の奥さん”だもの。」
自分に言い聞かせるように言葉に出す。
そう。
私は孝支という旦那がいるのだと。
だから、終わりにしなければいけない。
灰羽くんとの関係を。