第11章 視感。
side灰羽
イったと同時にくたりとマットに沈み込む椎名さんの身体。
荒い息を吐き恥ずかしそうに身体をしならせる。
くすり
笑う声に視線を送れば、赤葦さんが口元を押さえて笑っていた。
「本当にいいものが見れました。ありがとうございます。」
赤葦さんが椎名さんに笑いながら手を差し出すと、その手を取った椎名さんが身体を起こした。
赤葦さんに手を引かれているとはいえ、椎名さんはイってすぐの身体。
ふらり、足元がおぼつかず、椎名さんはバランスを崩す。
小さく声をあげた椎名さんは赤葦さんに腕を引かれ、赤葦さんの胸に飛び込んだ。
目の前で赤葦さんに身体を抱かせている椎名さんは頬を染め、「あ、ごめん…」なんて言って離れようとするけれど、赤葦さんがなかなか離そうとしない。
それどころかあえて自分の身体を密着させて椎名さんの身体を撫でていく赤葦さん。
「やっぱり良い身体してますよね。これでおしまいなんて本当にもったいない。」
「ちょっ…赤葦くん。やめて…?」
椎名さんもなかなか離れようとはせず、身体を触らせている。
「赤葦くんっ…やんっ!」
きっとイライラしていたのだろう。
自分以外の男に身体を触らせること。
椎名さんが大した抵抗もしていないこと。
そして自分がいることをわかっててわざと赤葦さんが椎名さんにベタベタ触れていること。
それら全てに気持ちを持っていかれ、俺は衝動的に目の前の椎名さんを奪い取った。