第11章 視感。
転びそうになった身体を赤葦くんが支えてくれた。
それについてはありがたかったけれど、体にあまり力が入らないのに気づいている赤葦くんは、私の体を支えたまま太腿や背中を指でなぞる。
イった直後だからかまだまだ熱の冷めない身体はそれだけで体を震わせる。
「赤葦くんっ…やんっ!」
つ、とお尻の谷間を指が伝った時、体がぞくり、と跳ね、思わず声が出てしまう。
その瞬間、私の体は赤葦くんから離れ灰羽くんの胸に移動した。
「赤葦さん、やりすぎです。」
「灰羽?カッカしすぎ。おさわりくらい許してよ。」
くくっ、といつもは見たことのないような表情で赤葦くんは笑い、浴室の扉に手をかけた。
「じゃあ俺、先に身支度整えるので風呂入ってきてください。」
椎名さんの体、綺麗にしないと旦那にばれちゃいますよ?なんて私に声をかけ、赤葦くんが去って行く。
残ったのは私と、私を抱きしめる灰羽くん。
「風呂、入りましょう。」
そう切り出した灰羽くんは私の了承も得ず、私の体を抱き浴槽へ向かう。
そして私を抱いたまま、灰羽くんは浴槽へ体を沈めた。
「ここ、洗っちゃいますね。」
少し苛立ちを押さえたような口ぶりで指を向けたのは私の秘部。
ナカに指を差し入れ中の滑りを掻き出していく。
少しは収まったとはいえ、イったばかりの体はまた熱を持ち始める。
唇を噛み締め堪えるけれど、灰羽くんの長い指が私の弱点を撫でていくからどうしても声が出てしまう。
「灰羽くっ…やぁ…っ」
「……感じてましたよね。」
ぽそり、灰羽くんが呟いた声が耳にするりと入る。
閉じていた瞳を開き、顔をあげれば拗ねた顔が目に入る。
「…見ないでください。」
ふいと顔を背け見えるようになった頬。
拗ねた顔が可愛くて、私は灰羽くんの頬にそっと口付けた。
「可愛い。」
「可愛くないです。」
「嫉妬なんてしなくても、私は灰羽くんのものよ?」
そう口に出せば、灰羽くんは唇を尖らせたまま私の前に顔を突き出す。
「菅原さんのところに帰るくせに。」
…分かってる。
こんなに寂しい顔をさせてるのは私。
ごめんね、灰羽くん。
「でも、私の1番はいつでも貴方。」
両の手で頬を包み唇に舌を這わせるとそっと離し、こつり、おでことおでこをくっつけた。
「大好きよ、リエーフくん。」