第10章 変化。
散々泣いて気づいた。
やっぱり、私は灰羽くんが好き。
改めてそれを感じたのだけれど…
「椎名さん、俺に乗り換えません?
灰羽よりも満足させる自信ありますよ?」
「赤葦くん…着替えたいんだけど…」
「恥ずかしがる椎名さんも可愛いです。」
性的な部分に触ることはないけれど、過剰なボディタッチをしながら私に求愛を行う赤葦くん。
泣いてる時に背中をさすったり頭を撫でることを許したらそれがエスカレート。
指を絡ませたり太腿を撫でたり…
「赤葦くんって草食系かと思ったら、そんなことないのね。」
「本当は今すぐ食らいつきたいのをセーブしてるんですよ?」
そう言いながら手の甲に唇を当てる姿は、セーブ…しているようには見えない。
「俺、灰羽だけじゃなくて旦那にも嫉妬してますし。」
手に添えられていた赤葦くんの手が離れたかと思ったらその手はなぜか私の左足を捉える。
「俺だけにしか見せない顔…見せて欲しい、なんて考えてるんですから。俺。」
そう呟くとうやうやしく掲げた私の足の甲に、赤葦くんは口付けた。
足を離そうとするけれど赤葦くんはがっちり掴んだ足を離してはくれなくて…
くすり、笑った赤葦くんは唇だけでなく舌まで私の足に這わせ始める。
くちゅ、ぴちゅ、と音を立てて私の足を舐める赤葦くん。
足先から身体に少しずつ近づいて来る赤葦くんの赤い舌。
時たま私の瞳を覗き見る赤葦くんの瞳はいつもの冷めたものではない。
熱っぽく誘う瞳にどきりとしてしまい、私は瞳をそらす。
「…やめて?赤葦くん。」
そう呟けば赤葦くんは私の内腿に軽く口付けた後、身体を離した。
「本当、椎名さんの恥ずかしがる姿は可愛いです。」
風呂、どうぞ?
そう言ってくれた赤葦くんに感謝しつつ、私はもう一度浴室へと向かった。