第10章 変化。
「椎名さんって嘘が下手ですね。」
するり。
太腿の違和感を感じ、見れば隣から伸びる手。
他の人からは机で隠れて見えないのが分かってやっているのは丸わかりだ。
「…何が目的?」
「別に他人の恋愛に興味ありませんよ、俺。
でも、まあ…目的といったら…」
太腿を撫でていた手が腹部に回り、ウエストから手が差し入れられた。
今日は飲み会だし食べるだろうな、なんて予想してウエストゴムのスカートをチョイスしたのを心底恨んだ。
赤葦くんはパンティの横のラインをストッキング越しになぞる。
「1度でいいから、俺に抱かれてください。」
ぺちり、とパンティが優しく肌を叩いた。
そのまま赤葦くんの手はお尻の方に動き、大胆にお尻を撫でられてしまう。
「実は入社してからずっと椎名さんに好意を抱いてたんですよね。
既婚者だからと気兼ねしてたんですけど…」
するりと抜けた手。
それはいつのまにか私の手を握っていた。
「既婚者の椎名さんが灰羽とセックス出来るなら、俺にもさせてほしいです。」
だめですか?
そう聞きながら私の手をぎゅっと握る赤葦くん。
拒否権、なんて
なかった。