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ヒカリに焦がれて 【R18】

第3章 殺し屋 ダリア





「……本当に美しい…
特にその瞳、まるで宝石だね…一目で心奪われたよ」

すくい取った一房の髪に
ゆっくりと口づけを落とす。

「…レティ、キミさえよければ
僕の専属にならないかい?
もちろん、報酬はキミが望むだけ…
悪い話ではないだろう?」

髪を弄んでいた指先が
ゆっくりとレティの頬を撫で
先程よりも熱い眼差しを向けた。

『私には勿体無いくらいの
ありがたいお話ですけれど…
誰の専属にもなるつもりは
ございません
私は今も昔も一匹狼を好む…
《solitario bestia(孤独な獣)》ですから』



そう言って自分の頬を滑る男爵の手を
そっと掴んで下ろした。


『それに男爵…あなたと会うのは今日で最後
今後二度と会う事はないわ』


男爵の目が見開く。
言われた言葉の意味は至極簡単だが
あまりにも唐突で思考が追いつかない。


「ど、どういう事だ?
今日が最後って…嘘だろ?」


たまらず男爵は両手でレティの
両肩を掴んだ。


「ま、まだキミに依頼があるんだ!
専属になれって提案が気に障ったのなら
謝るよ!
それだけじゃない!キミへの想いも………
とにかく、最後だなんて言わないでくれよ」


「な⁇」と懇願する目。
離すものかと力の入った両手。
痛くはないが掴まれた両肩は
少々軋む。

はぁ…と小さく溜息をついてから
男爵に視線を向ける。


『残念ですが、依頼もあなたの想いも
受ける事は出来ません」

「じゃあ‼︎せめて…時々でいいから
またこうして会ってくれよ‼︎
それくらいならいいd………」





キュンッッッ






『言ったでしょ⁇
今日が《最後》だって…』






ボスッと力なく仰向けに倒れこむ男爵。
豪華なソファの一部が紅く染まり始めた。






『オヤスミナサイ…良い夢を…』

レティの手に握られた
黒く重厚な【相棒】…
しかし所々に施された装飾が
品よく柔らかに輝きを放っていた。


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