第5章 囚われの謌【光秀】共通ルート
「…っ!意味不明なこと言ってないで、縄を解いてください!」
(真っ赤な顔で意識しているのが丸わかりな態度で噛み付いてくる…股を開いて誘われるよりもゾクゾクするな。)
美蘭の挑戦的な瞳を前に、
身体の芯に熱が灯った光秀。
だが、
目の前の、自分の胸を掻き乱す女は、
信長が寵愛する女。
湧き上がる欲を耐え、
細い腕を縛っている縄を解いてやった。
「…ありがとうございました。」
「ひとまず畳の上で休むぞ。いざという時に備え体力を温存しておく。」
そう言うと、光秀は、畳の上に上がり、腰を下ろした。
美蘭もその後について行き、畳の上に上がった。
「…ふ。随分と警戒されたものだな。」
美蘭は、
囲炉裏を挟んで反対側に腰を下ろしていた。
「…!…警戒とかじゃ…此処に…座りたいだけです!」
どこまでも反応が素直すぎる美蘭を鼻で笑う光秀。
「好きにしろ。」
それから何時間経っただろうか。
春といっても夜はまだ冷える。
急激に気温が下がったが囲炉裏には火を起こすことも出来ず、2人の身体は冷えきっていた。
少し眠ってしまった光秀が、目覚めて美蘭を見ると、
傍目からもわかるほどガタガタと震えていた。
「……!」
光秀は反射的に立ち上がると、
美蘭に駆け寄り、
すぐ隣に膝をついてしゃがんだ。
「っお前は!何故こんなになっても何も言わない?!身体を冷やし過ぎれば…死ぬぞ?!」
掴んだ腕はヒヤリと冷たく、
かなり冷えきってしまっていることがわかった。
「だってどうしようも…っ!!!」
次の瞬間
美蘭は光秀の逞しい腕の中に抱き締められていた。
「きゃ…っ…!」
小さな可愛らしい声を上げて、抵抗しようとする美蘭を、
光秀は更にギュッと抱き締めて
「体温を分け合えばいい。」
美蘭の耳元で
言い聞かせるように言った。
◼︎共通ルート 完◼︎
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