第1章 -お部屋デート-(岩泉一)
「ちょっ…はじめ⁈ど…したの?」
家に来るなり、玄関で急にわたしを抱き締めたはじめ…。
はじめと付き合ってから、こんなことは初めて。
だいたい、わたしから甘えてスキンシップするし、エッチが始まるまでは、わたしのほうが攻めてる…と思う。(始まっちゃうと立場逆転しちゃうけど…)
「…別に。」
そう言ったはじめは、わたしから離れ、靴を脱いだ。
何かあったのかな…。
でも、はじめは、何事もなかったかのように、わたしの部屋の中の定位置…ソファの左側に座る。
「何か飲む?」
「なぁ?…オレは甘えちゃいけないのか?」
「…⁈」
キッチンに行こうとするわたしの手を、はじめはギュッと握ってわたしの動きを止めた。
はじめの真っ直ぐな視線がわたしに注がれる。
「そんなことない。甘えて…いいよ。」
今度はわたしがはじめを抱き締めた。
ギュッと力を込めるけど、優しく優しく…。何があったのかはわからないけど、はじめの気持ちを少しでも落ち着かせてあげられるように。
次の流れは自然に訪れた。
ずっとわたしがはじめを抱き締めていたけど、どちらからともなく瞳の位置が重なり、それと同時に唇も重なる。
甘く優しい口づけは、いつもよりほんの少し、はじめのほうが弱く、わたしのほうが強くはじめの口内を攻めた。
攻めるけど、優しく。
はじめも甘えていいんだよ…っていう気持ちを伝えたいから。
そのままはじめをソファに押し倒し、はじめの首筋に顔を埋めたまま、はじめのワイシャツのボタンに手を掛けると、すぐにはじめの鍛え上げられた身体が露わになった。
「…おまえも脱げよ。」
今まで何も言わなかったはじめが声を発した。
「ゃ…まだ…」
「まだなんもしてねぇのに、甘い声出すなって。」
はじめ…弱ってるんじゃなかったのーー⁈
そう言いたいのに、わたしのトップスに掛けられたはじめのゴツゴツした大きな手を止めるコトはできなくて、あっという間にわたしも上半身裸になってしまう。
「…キレイだな。」
「…っ⁈」
はじめのことばに、脱がされた時よりも真っ赤になってしまう。
「顔、赤いぞ?」
わたしの頬をさすりながら、妖艶な表情で囁くはじめの声に、わたしの頬の赤みは治るどころかどんどんひどくなっていく。
「あ…赤くないもん。」
「他のトコも赤くすっか?」
「え…⁈」