第7章 -プラトニックデート-(岩泉一)
「まだ仕事してたの⁈」
ギリギリ終電で、一度家に帰るコトになり、さすがにハジメも仕事終わってるだろう…と思って、駅から家までの間だけでも…と思って電話をすると、家にいるのにまだ仕事をしてるとハジメは言う。
「電話きたりメール返してたら、自分の仕事終わらせるタイミングなくてな…」
「もう…頑張りすぎだよ?」
テレワークになってから、ハジメの仕事量がますます増えてる気がする…。声も疲れてるし、大丈夫かな…
「あぁ。そろそろやめるわ。てか、おまえ、今日夜勤なんだろ?電話してて平気なのか?何かあったのか?」
ハジメのほうが大変なのに、こうやってすぐわたしの心配をしてくれるトコにハジメの優しさを感じてキュンとしてしまう。
「うん。急遽明日の早番の人と交代になったから、いったん家帰ってるトコ。もう着くよ。」
「早番と交代すんなら、もっと早くあがれよ。そんなんほぼぶっ通しと同じじゃねーか。」
「うん。でも、大丈夫!こうやってハジメの声聞くだけで元気出る♪」
「…っ‼︎とにかくさっさと寝るんだぞ?」
「はーい。今家入ったよ。はぁ…とりあえず今日はシャワーでいっかぁ。」
「ちゃんとお湯溜めて少しでも疲れとれよ?」
「そういうハジメはー?」
「オレはシャワー。」
「自分だってシャワーなんじゃん!」
「オレはずっと家にいたからいーんだよ。」
「でもそれはそれで疲れるって言ってたじゃん。」
「まぁ、おまえよりは鍛えてっから大丈夫だって。それより、早く風呂入れよ?いったん切るか?」
「……ううん。」
「ん?どした?」
考えごとしたちょっとした間もハジメは感じ取って心配してくれる。そういう些細な変化に気付いてくれるトコも好き。
「じゃ、お風呂溜めるからさ…」
「…?」
「ハジメもお風呂溜めて?」
「なんでだよ?」
「お風呂入りながら一緒にテレビ電話しようよ♡」
「は⁈おまえ、何言ってんだよ⁈」
ちょっと怒ってるように聞こえるけど、これは怒ってるんじゃくて照れてるだけだな♡
「だって全然会えないし…ハジメも溜まってるかなーと思って♡こんなコトしたコトないし、ちょっとドキドキするよね♪」
「…言ったな?おまえから言ったんだからな?途中で切るなよ?」
電話の向こうから、ハジメがお風呂を沸かす音が聞こえた。
---End---