第1章 中間淳太
ーーside
やっと終わった報告書を、
中間さんに手渡して
帰る支度を済ます。
「送ってくで」
中間さんも支度を終えて
私の元へと来る
「、いつも終電やろ?
明日は休みやし送るわ」
『え。いやでも!』
「遠慮すんなって〜。
使えるもんは使っとかんとな」
なんて言うから、
ではお願いします、と
頭を下げた
中間さんの車は高級車と聞いてたけど、
みんなとそんな変わらない、
ふっつうの車だった。
それでも清潔感のある車内と車体は、
やっぱり高級感があった
「振られた子にな。聞いてん」
急に始めたその話は、
私の返事も求めずに
独り言のように続けて話した。
「中間さんは、私ではなくって、
傍にいたが好きなんやろって」
その一言で、
どくんと大きく高鳴る。
「だから振ったんですってさ」
どう思う?
いつもと変わらぬ笑顔のまま、
中間さんは聞いてくるから
戸惑う気持ちとドキドキの心臓に
静かに俯き、黙り込んだ。
「そう言われたら意識せざるを得んよな」
なぁ?と私に同意を求めるから、
静かに頷いたもんだから
中間さんは「ふふ」と笑った。
「同意するってことは、
もそう思ってんねや」
赤信号、
止まった車。
視線が私の方へと向く。
「なら、遠慮せんでええってことやな」
おっけー、把握なんて呟いて
私の家までの道は、
お互い沈黙したままであった。
end.
『…っあの!』
「ん?、どうしたん?」
『異動にならない程度で…お願いします』
それだけです!!、
顔を真っ赤にしてドアを強めに閉めた君。
「異動になんて、させへんわ」
どこにも離す気なんて、
はなっからこっちにはないねん。
なんて言えてたらカッコよかったな
「……っ!(照れてる)」