第1章 中間淳太
初めて知り合った病院。
隣のベッドでカーテンを
勝手に開いて初めましてと言った。
暴れる俺をいつもなだめてくれて
たくさんの本を貸してくれた。
転院すると聞いたあの日。
やせ細った身体に、
こんな俺でも薄々気づいた。
お見舞いに行くよ、
遊びに行くからと言って
俺は君にさようならと
お別れすることを覚えた。
文通をするようになった。
字の練習だと言って
君は綺麗な字を書いてくれた。
いつか行きたいと書いてた海。
綺麗な星空を見上げて
たくさんお願いごとをするんだって。
これからもどうか生きれますように───。
俺の心にはいつも君がいた。
会いたいと思ったのも、
君と話したいと思ったのも、
好きだって、思ったのもすべて
あの日、俺を救ってくれた、
君がいたから。
「、…」
俺な、学校に行くことになってん。
定時制やから働きながら。
親がその方がええやろって言うてくれてん!
お金に不便はないけれど、
君ならそっちの方が
学べることが多いって言うたからね
なあ、ほんま俺さ、
がおれな寂しいねんって…
「君不足やねん俺…」
end.
失って気づいたものは、
出会う前の俺が
ずっと恐れていた気持ちで。