第1章 中間淳太
人と関わり生きるのが億劫だった。
傷ついて泣いて苦しんで、
それ以上を経験するのが怖かった
だから関わりをたってしまった。
怖くて震える毎日に君が現れた。
初めましてと笑う君は美しかった。
俺を見て優しく微笑むから、
戸惑う俺は視線をそらすので精一杯
ぐらぐら揺れる心が、
また俺を苦しめる
「俺、のこ、とは、
ほ、放っといてえ、えから」
ぎこちない言葉を紡いで、
近づかないでと言う
『私とお友達になりましょう!』
それでも君は1歩、近づいて
手のひら差し出して
また優しく微笑む
こんな俺なんか、
ほっといてくれたらええのに。
君に何もしてやれへん俺なんか、
君のために何にもならへんのに
『中間くんは何が好きー?
私はね、キラキラした海が好き!』
「…すきなも、んなん、てない」
ぎこちない返事の言葉に
君はそっかあ、と笑う
『じゃあ、私とこれから、
好きなものたくさん増やしていこう?』
「…おれ、と?」
『好きなものが増えるとね?
不思議だよ〜。世界がね、
こう…キラキラして見えるんだよ!』
すごいよね、
そう言って笑う君が
身振り手振りで説明する君が、
やっぱりどこか美しかった。