第1章 中間淳太
出会いは偶然だった。
ノートを抱えて階段を登ってたら
つまづいて転んだらばらまいちゃって。
「…ふふ、大丈夫か?」
通りかかった彼が、
笑いながら拾い集めてくれた。
『す、すみません、ドジで…』
「まあ、こんだけ沢山持ってたら
下なんて見えへんよ。手伝ったるわ」
半分貸して、と
拾ったノートを持つ彼。
「どこ?教室?職員室?」
『あ…理科準備室、です』
まだあと1階上がらないかんやん、
と笑う彼は
先に歩き始めた。
『あ、あの!』
「ん?」
『名前、は…』
「ああ。中間淳太って言うんやで」
よろしくな、ちゃん!と
何故か私の名前を
知ってる彼。
だけどそんな事よりも、
私はそんな優しい彼に
勝手に一目惚れをしてしまった。
目的地までノートを運び終わると、
「じゃあ、気をつけてな」
そう言って走り去ってった。
中間淳太さん、か
先輩だろうな
どんな人なのかな?
どんな友達と、どんな話をするのかな
知らない彼を知りたくて、
私の毎日の楽しみができた