第1章 中間淳太
「…別れてん…
他に好きな人できたんやて」
あの人が泣いた。
彼女を想って流した涙は、
あの人をどれだけ傷つけたのか
感じ取ることが出来た。
何度も欲しいと願ったあの人が、
彼女を想って泣いている。
それがどれだけ好きだったのか
私だったら分かるのに
私にすれば良いのにと、思ってる自分もいる
「しかも浮気されてた
その好きな人って、やつと」
「ずっと裏切られてた
俺は、遊び相手なんやって」
それでも貴方は彼女を想う。
好きだったのにと言いながら泣く。
『また良い人が、現れますから』
それでも私はあなたをきっと、
ずっと好きでいるのだろう。
例え私の方を見なくとも、
手を伸ばす事が出来なくたって。
貴方の中で、
傷ついた時に一番に思い浮かぶのが
私なのであればそれだけで
それでも恋って欲張りで
それ以上の存在になりたいと、
思ってしまうのもまた事実であるのだ。
end.
好きだと告げてしまえば、
今のあの人なら
簡単に頷くと知っているから
笑うその時まで、
私はただ隣で微笑んでいようと思った
それが永遠の片想いになったとしても。