第7章 小瀧望
叶わなくたっていいなんて思わない。
きっと絶対、振り向かせて
私が居ないとダメだって
思わせたるねん
それでも人間、疲れちゃうもんやんか。
『照史、そこに突っ立っとってや』
「はあ?」
『今から泣くから。秘密な』
照史は、綺麗に泣いてたと言った。
誰かを思って泣いた涙が、
それは俺に対してではなくて。
俺とは違うあいつのためで
きゅっと握りしめられたみたいに
心臓が痛くなったりするんだ
俺のために、泣いたらええのに
抱きしめた照史が、
精一杯に力を込めた。
『…っ』
「あいつは罪なヤツやな」
好きより大好きより、
君に伝えなきゃいけないことがある
それはずっともっと、
大切なことだと思う
望、私、ずーっとあんただけを
愛してんねんで
end.
それでも届かない気持ちを、
人は片思いと言うのだ