第7章 小瀧望
もう許さない!
ぜっったい!許さないんだから!
メラメラと湧き上がる苛立ちを
視線の先の彼は
気付かずヘラヘラ笑っていた。
高身長である彼は、
他の男子よりも
はるかに目立つ存在であった。
だが、それゆえに
よく女の子たちに絡まれた
ちがう、ちがうと言い聞かせた。
嫉妬深いなんてちがう。
だけどこの状況を見れば、
私は認めざるを得なかった。
いつだって片思い。
疲れちゃう、こんな恋愛。
「やっほー」
よ、と頭を軽く叩かれ
痛いなあと振り向けば、
そこには照史が笑って立っていた。
「望のとこ行かんでええの?」
『ええの。私なんかよりずっと、
好きな子が居るみたいやし。ええねん』
通じあわない恋愛なんて、
そんなのごっこ遊びと同じじゃないか。
悔しくたって泣いてなんかやんない。
後悔してればいいの。
あんたなんか、あんたなんかね
許してやんないんだから。