第7章 小瀧望
「ええ!なんでぇ!?嘘やん!」
びっくりするぐらいの大声に、
キッチンに居たお母さんも
思わずビクッと驚く
『なんやの〜いきなり驚くやろ』
『ほんまや、うるさいわ』
「この可愛い俺を!蔑ろに!うわあ!」
『うるさ、黙って』
出掛ける準備をしてた私に、
さっきまで呑気に
ゲームなんてしてた望が
「ま、ま、待ってえ」
なんて服を掴み離そうとはしない
『望、離したりや』
「あのいけ好かない淳太の所に
行ってまうんやろ!行かせへんで!」
『いけ好かないって…
あんたの部活の先輩やん…』
先輩をそんなふうに言ってると、
あとで痛い目見るぞ。
「ただいまあ、てあれ?
まだ行ってへんの?
てか望もおるやん、はよ帰れや」
帰ってきたのは兄の智くん。
社会人で、
帰りもいつも遅い。
『おかえり〜。
望が離してくれへんの』
「この俺を置いてこうとするからやん」
「置いてくって…。淳太くんの何が嫌やの」
なあ?と聞いてくる智くんに同意。