第7章 小瀧望
先輩、俺にして楽にならん?
初めて敬語じゃなくなった
ドクドク慌ただしい心臓と、
喉につっかえる苦く苦しいものが
涙になって流れて
「俺やったらいっぱい甘やかしたるし
不安にならんぐらい愛したるよ
俺、意外と独占欲強いねんで〜〜?」
ひひ、と笑う小瀧くんは
私の手を優しく握る
『…そんな、都合良く…考えれない…』
小瀧くんはちゃんとした人。
一途で、でも少し甘えん坊な所があって
寂しがりでかまってちゃん。
失恋してすぐ小瀧くん?
こんな私だって、
最低な事なんか出来ないよ。
「気づいてへんの?」
先を歩いてた小瀧くんが立ち止まり、
振り向いて
優しく微笑んだ。
「先輩、俺のこともう好きやろ?」
得意げに笑うと
小瀧くんはゆっくり走り出した。
end.
先輩の視線も、気持ちも、すべて。
欲しいと思った。
見てるだけじゃ物足らんから。
先輩が想う先が俺なら、
なんて幸せだろうと思った。
君が最低やんか、と呟いた
失恋なんかしてへんやろ、
ずっと俺を好きやったくせに
だけど俺は最低やから、
嬉しくて君をあいつの前から連れ去ったるねん
後悔しても返したらんわ