第4章 重岡大毅
人に話すと漫画の読みすぎって、
馬鹿にされるんだけどね。
朝が苦手な私は、
のんちゃんに毎朝、起こしてもらって
学校に通っているんだけど…
その日に限ってのんちゃんは
日直で先に出てしまっていて。
まあ、予想通り寝坊したわけですよ。
『何度も起こしたんやで?
あんた起きひんもん、手に負えんわぁ』
なんて起こす気さらさらないくせ
そういう風に言うお母さんはほっといて
お弁当と軽い朝ご飯をカバンに入れて
家を飛び出した。
『もうあかんっ…間に合わへん…』
いつもは使わない近道を通って、
とにかく走った。
そう、曲がり角の先を気にせずに
ドンッ、
ぶつかって思わず尻餅ついて
『…ったたた、』
散らばった私の教科書たち。
何故かお弁当と朝ご飯は
無事という謎…。
「わあ!ごめんなあ、
めっちゃ散らかしてもうたな」
あちゃ、と
先に拾い始めたぶつかった相手を
見上げると
「はい、これで全部よな?」
ほんまごめんな?って
また申し訳なさそうにする彼
「…うあ!やば、急がな遅刻やわ
君も気をつけてはよ遅刻せんようにな」
ばーいっ
と謎の挨拶の言葉を残して
彼は自分のカバンを取って走り去った。
『…これ』
生徒手帳と、それに挟んだ鍵を落として。