第3章 桐山照史
『重岡くん元気だね』
ふふ、と笑うちゃん。
「あいつは淳太大好きやからな」
「そうそう。いつもああやし、
淳太くんも満更じゃないと思うしな」
廊下からはまたギャーギャー騒ぎ声。
淳太くんとしげやろ
「可哀想やから助けに行ったるわ〜」
うるさいな〜朝から
と小瀧が教室を出て行った。
ちゃんと2人きりや…!
ど、どうしよう…。
『実はね』
ニコニコと話し始めたちゃんは
バックから袋を出した。
『照史くんには別にもう一つ』
どうぞ、と
差し出された袋の中には
ラッピングされたチョコレートだった。
え!?え?!
こ、これ、これ…
期待というかしてええやんな!?
「え、ええの!?」
『うん。美味しくないかも…』
「うわーー!嬉しいどうしよう」
まさか貰えるなんて思ってへんかった…。
あとで写真撮ろう。
でもな、まさかな。
帰って中に入っていた手紙に
" 好きです。 "
なんて書かれとったなんて
この時の俺は浮かれて気づいてへんかった
end.
その頃の廊下。
「朝から鬱陶しいねんお前!」
「淳太淳太!ぶぇ〜〜」
「汚いわ!水かけるなや!!」
「しげ止めたれや」
「うひゃひゃひゃ、あー面白い」
「なんもおもろくないわ」
「淳太びしょびしょやん(笑)」
「ほんまやで。トイレだけで」
悲惨なバレンタインデー。