第14章 ひっそり育む愛
「具体的には?」
「具体的?」
「うん。聞いて損はないでしょ?」
目を泳がせる姿も
逃げられないことを悟ってか、俺のシャツをギュッと握ってるのも
全部想像通りで
そして多分
俺のニヤニヤ姿も予想通りなんだろうね
「改めて問われるのは恥ずかしいです」
「……ンフフ」
「言わなきゃだめですか?」
「ここまできたらねぇ?」
逃してなんかやらないよ
だって
大好物の顔してるもん
それから意を決したかのようにぽつぽつ綴られる愛の言葉
自分で聞いて何だけど
ちょっとむず痒い
最初はずっと目を泳がせてたけど
途中でふと見上げて俺の顔を見て目を見開く由梨
「………えっ。、、もしかして、わざとでした?」
「フフッ。……さぁ?」
今更気づくなんてね
「う、………うぅ」
逃げられないから抱きついてなるべく顔を見ないようにする由梨に思わず吹き出す
こんなに虐めてるのにいつも俺の好きな所に(優しい)が入ってる由梨はやっぱりどうかしてるよなって思いながら頭を撫でる
「………好きです」
「フフッ。……うん」
最近はよくこうやって伝えてくれて
嬉しい反面
やっぱりちょっとむずむずした感情もあって
余計悪戯してやりたくなるから
「いやー。最高な1日の締め括りだな」
余計な一言をお見舞いして
「……和さん。楽しそう」
ええ。もちろん
最初からずっと貴女は楽しい人よ
「ふふっ。……そう?」
本心は隠してそう答える
少し困り顔をして見上げてきて
背伸びをしてキスを一つ
そんな事されて
ぶあっと暖かい何かが込み上げる
「たいちゃん居るけど……もうちょっとだけ、、」
それ以上は言いにくいのか少し涙目で訴えてくる
「あら、素敵なお誘いありがとう」
一度抱きしめてそっと寝室へ
愛しすぎる我が妻にたっぷりの愛情を
fin