第2章 楓編
「ねぇー?楓ちゃん。俺の独り言聞いてくんない?」
他の4人は既に出払っている中、ニノちゃんが私にそう言ったので軽く、良いわよー。と答えた
「あの、さ。由梨のことなんだけど。この前楓ちゃんの代わりだったでしょ?」
邪魔にならないよう極力頭を下げないようにしてゲームをするニノちゃん
表情はゲーム機で見えない
「あー。そうね?問題なかったでしょ?」
フフッと笑いかけたがそれには返してくれなかった
「あの後会った?…というか、最近会ってんの?」
どういうことよ。と言うとうーん。と渋るような声を出した
「…いや。いーのよ。別に。ただちょっと聞いただけ」
そう言ってヘアメイクが終わったのを見計らってさっさと楽屋を出て行ったニノちゃん
なんなのよ。全く。相変わらず変な子
そんなことを思いながらその時はその会話はあんまり気にしていなかった
それから暫くして雪乃くんのヘアメイク中にも同じ事を聞かれた
「最近楓さん由梨ちゃんと会ってます?」
なんでまた。と思いながらも会ってない事を話すと鏡越しで考え込む顔をしていた
「最近、由梨ちゃんやばいかも。あれは痩せすぎだよ。しかもやつれてて。楓さん何も聞いてないですか?」
心配そうな眼差しでそう言う雪乃くん
「え。何も知らないわよ。詳しく聞かせて」
雪乃くんの話によると最近の由梨は元気なそぶりを見せているがまるで生気がないようにやつれ少しミスも目立つらしい。
食欲もないみたいで最近は仕事中食べている姿をみないと言う
「俺、なんかの病気なんじゃないかとか色々調べたけど見た目だけじゃどうにもね」
本当に心配なのか雪乃くんははぁ。とため息を一つ吐いた。
その後の休みの日。
由梨に電話をかけると力のない声で電話に出た
「今から会わない?」
咄嗟に出た言葉はシンプルなものだった。
私の言葉に力なく、はい。と答える由梨に会う場所を指定してカフェに向かった