第11章 豹変
その事件はある日何の気なしにいつも通りレギュラー番組を撮り終わった頃に起きた事がきっかけだった。
「二宮さん!是非これお持ち帰りいただけますか?」
そう言って渡されたのはそこそこ有名な銘柄のお酒で。
アルコール度数がバカみたいな癖にかなり飲みやすいと言われている高級な代物だった
「どしたの?これ」
強制じゃないかと言うくらいずいっと渡してくるスタッフに聞くと今日のゲストから皆さんに。と言う
あー。それであの人達も同じ紙袋持ってたのね。
挨拶もさせずに颯爽とプレゼント攻撃を仕掛けて帰って行くベテランのタレントはかなりお忙しいようで。
そんな高級なもの。無碍にも出来ずに素直にもらっておいた。
「あ、ニノちゃんも貰ったんだ。」
そう言って嬉しそうに同じ紙袋を自分のカバンの脇に置く楓ちゃんに、まぁね。と返す
「でも。ニノちゃん。由梨だけには絶対に飲ませちゃダメよ!舐める程度にしなさいよ!」
そう言って恐怖に慄いたような。そんな顔をみせるので、そういえば。と昔初めて由梨の家でハンバーグを食べた事を思い出した。
「ねぇ。俺たちってさ」
やっぱり穴兄弟じゃないよね?と出かかったけどあまりにも怖い質問だなと思いやめておいた
「なにぃ?」
「なんでもないです」
そう言ってそそくさと荷物をまとめて楽屋を後にした
ほんとめんどくさい男。と聞こえた気がしたのは気のせいにしておこう