第10章 親友=心友
「あ、今日後輩ちゃん来るんだわ」
帰って来るなりそう言う和さん。
あまりのつまみあったかなー。と何となく考えながら冷蔵庫を開けて中身を確認していたら背後から手が伸びて来て缶ビールを取る和さんに、何か食べます?と聞いた
「んー。ストックのつまみでいいよ。あいつもそれで良いし。気にしなくて良いから」
由梨は気にするだろうけど。とニヤつきながらビールを美味しそうに呑んでいるのを見て何でこの人はなんでも分かるのだろうと改めて思った。
結局何か簡単に作るかとパパッと何品かつまみを作っていると、ピンポーン。とお客様が来訪する音
いいよ。俺出る。と言ってモニターを見つつ外側のドアを開けて、どーぞー。と適当な返事をしていた
あ、そういえば誰が来るか聞いてなかったな。と思い
「何方がいらっしゃるんですか?」
「えーとね、(ピンポーン)あ、来ちゃったわ」
答えを聞く前にドアの前まで来てしまったので慌てて鍵を開けに行く
「はいっ!おまたせって、、あぁっ!」
ドアの鍵を開け押すときに何故か玄関の何もないところで躓いてお客様に思い切り抱き着いてしまった。
「えっ!!!…えっ!?」
抱きとめつつ激しく驚く彼はどうしたものかと慌てている。
急いでバッと離れると今度は後ろにふらつき、いつのまにか背後にいた和さんにそっと支えられた。
「クフフっ。…貴方何してんのよ。玄関前で」
あまりのドジっぷりに堪え切れない笑いを浮かべて私の両肩を摩って、落ち着いて。と言われた。
「ああー。めっちゃびっくりしたー!」
リビングに通してソファに促すとそう言ってケラケラ笑う彼は見たことがある方だった。
「本当にすみませんでした!!」
土下座をする勢いで謝ると、いやいやいやっ!壁に激突しなくて良かったです!!と彼も勢いよく言うので和さんがまた、フフッと笑っていた
「由梨知ってるよね?この人。秋岡大地(あきおかたいち)っていうんだけど」
もちろん知っている
彼は和さんと同じ事務所でFlowerというグループの1人
以前、空さんの仕事で何度か同じ場所で見かけたことがある