第9章 飢えと潤い〜18禁〜
世の中にはさ。
色んな飢えがあるよね。
食料に飢えてたり。
愛情に飢えてたり。
でもどんな飢えにもそれに見合ったものを与えれば潤う訳で。
今やってるゲームもそうよ。
体力が飢えてたから見合ったアイテムを使ってしっかり回復させて。
そんなどうってことないことをぼんやり考えながらテレビに向かっていると、きゃっ!!と慌てる音と水が溢れるような音がキッチンから聞こえて来た
ゲームをセーブしてテレビを消してキッチンに向かうと何故か顔からお腹あたりがびしょ濡れの由梨がいた。
「なにやってんの?」
もはや聞くまでも無いくらいに床も濡れてるし、片手にはスポンジを持っていた。
けど、流しで流れ続けている水を止めつつそう聞いてみた
「ほんと。なにやってるんでしょうか」
困り顔の由梨を横目にタオルと雑巾を持って来ると素直にタオルを受け取り顔を拭いたのを見て笑ってしまった。
「あーあ。せっかく風呂入ったのに。」
濡れた服の胸辺りを摘むと、あっ。とちょっと漏れるなんでもない吐息に少しドキッとした。
そしてなんとなく由梨の姿を見つめ視線を逸らし床を拭き始めようとしたら慌ててそれを制止させられた。
「和さん!良いです。自分でやってしまったし!私がやります!」
「ん?いーよ。そんな濡れてるんだから早く着替えて来なさいよ。寒いでしょーよ」
しゃがもうとしたら手を握られやんわりと引き上げられたので着替えを促すが頑なに拒む由梨
こうなるとね。この人頑固だからね。
「……わかった。そしたら着替え用意するから引き出し開けるよ?」
そう言うと、ありがとうございます。とニコッと笑い返して来た
いや、普通逆だろ。
まぁ、俺は気になんないけどさ。
女の人ってそういうプライバシー的なとこ隠すよね。