第3章 輝編
俺とヒロトは大学で出会った
選ぶ講義も似ていて大学生活のほとんどはヒロトと過ごした
周りからは、お前らホモかって言われるくらいヒロトと一緒にいたけどヒロトには彼女がいた
ヒロトは彼女の話をしたがらなくて名前は由梨って言うことくらいしか教えてくれなかった
「なぁ〜。まだ会わしてくんねぇの?由梨ちゃん」
大学4年になりヒロトとの付き合いもそれなりになったのに中々会わせてくれないヒロトにそう言った
「会わせねーよ。なんで輝なんかに会わせねーといけないんだよ」
ちょっとイラつきながらそう言うヒロト
ヒロトはあまり多くを語らなくて周りの女子からはミステリアスなんて騒がれてる。
他の同い年の連中より大人びてる分少し人気があるようだ
「もしかして。お前。…妄想の彼女とかじゃねぇよな?」
ちょっとニヤつきながら言うと思い切り足を踏まれた。
痛ってー。と足を摩ると舌打ちされた。
「会ってどうすんの?」
物凄く冷たい言い方で言うので少しビビったけど、別に〜。お前のデレ顔とか見たことねぇし。とまたニヤついて言うとはぁ。と溜息を吐き前髪をかきあげた。
「…別に良いけど。……条件がある」
ヒロトの言葉に、えっ!マジ⁈と少し大きめでびっくりすると、うるせー。と心底嫌そうな顔をした。
「んで?条件って?」
言ってみ?と頬杖をつきながら言うとヒロトは今日一番のしかめ面でこう言った
「ぜってー。触んな」
は?
触んなって?
よくわかんなかったけど、お、おう。とそれだけ言うとまた溜息を吐いた。
その日は意外と早くに来て俺とヒロトが飯食ってる時に大荷物を抱えて彼女が現れた
ヒロトの隣に座り笑顔で話す彼女
俺の存在に気付き綺麗に深々と挨拶されたので、どもっ。と軽く頭を下げる
「…すげー。大荷物だな」
家出少女かよっ。と思ったがどうやら美容系の専門学生らしく納得した。
彼女はヒロトとは逆に社交的で笑顔がとても可愛かった。
人を和ませるような話し方で本当にヒロトの彼女かよって思うくらい好印象だった。
もしかしたらこの時もう既に俺は好きだったのかもしれない