第3章 坂田銀時:結婚記念日(甘裏)完結
目を丸くし、から少し身を離す
なんて言った?
目の前の彼女が言った言葉が信じられない…
今までどれだけ怒らせ、喧嘩してもお互いそれだけは決して冗談でも口にしないと暗黙の了解でいた
その言葉を彼女は放った…
つまりは
『本気』だということ
「…な、」
声を押し殺して泣くになんと言えばいいのかわからない
そもそも理解が出来ていない
『別れる』とは俺達の現状からすると
『離婚』
はそれを望んでいるというのか
そんな…
ようやく手に入れた彼女
付き合うまでにも色んな障害があった
押しても引いてもなかなか屈しない女
どうしたものかと手をこまねいているすきに、他の野郎共が邪魔をする
どうしても手に入れたい、これ以上好きになる女など二度と出会えない
そんな思いだけでアタックし続けた
最初は観念するかのように俺を受け入れていた様子だったが、いつの間にか彼女からも愛を感じるようになった
その機会を俺が逃すはずもなく、『結婚』しようと今度は猛アタック
交際よりスムーズに事は進んだ
すでに俺達の気持ちはその時共にあった
あの時誓った愛は本物だ
そう信じていた
止まることのなくなった彼女の涙と嗚咽が銀時の意識を現実へと引き戻す
「…っく」
いつも俺を叱り、微笑み、優しく包み込んでくれる彼女はそこには居らず
両手で顔を隠し、只々泣きじゃくる
見たことのない愛する女が居た