第3章 坂田銀時:結婚記念日(甘裏)完結
「いつもThank you、銀さん」
「おー、また明後日な」
「よろしくね♪」
軽くハグをしてくるが、決して抱きしめ返すことしない
されるがままで「じゃーな」と帰る
万事屋会議をしてから、なんとか探し出した取引先
後払いだが、ある程度まとまった金額の案件だ
月詠の紹介で吉原にある花魁御用達の甘味処での仕事
パフェの新メニューを試作しに週ニ、三回行っている
約一ヶ月の間に3種を作り上げなくてはならない
他スタッフと協力しているのだが、そのスタッフが先程のハグレディーだ
「ったく、変な文化だな。人にはパーソナルスペースっつーもんがあんの、知らねェのかよ」
なんて愚痴りつつ帰路につく
文句なんて言ってられないし、ハグをされるぐらいどうってことない
今は取り急ぎまとまった金が欲しいことには違いないが、これからだってきちんと働いていこうと思っている
とのこの先だって考えている
このままじゃいけないと思っていた
いいきっかけになったのかもしれない
「あいつらのおかげってか」
「誰のおかげって?」
「どわ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「えぇっ!?」
歩いている俺のすぐ隣でが小首を傾げて覗き込んできた
思わず変な声で驚いてしまった
「ビックリしたー。銀時変な声出し過ぎ!」
「お、お前が急に現れるからっ!俺のほうがビビったわ!!」
「うん、ビビってたね。ふふっ」
ふわりと笑うに夕日の影が落ちる
その影のせいかいつもと少し違って見えた気がした
「今日はみんな別々?」
「そっ、最近は結構バラバラ。要領よく振り分けてっから」
「一人ずつで大丈夫なの?神楽ちゃんとか…」
「あいつには簡単なのしかやらせてねェし。新八は基本的に知り合いんとこばっかだしな」
「へえー。意外とちゃんと考えてんだ」
「なにそれ!意外は余計でしょうがっ!俺だってやれば出来る子なんだからな!!」
「あははっ!…知ってる、わかってるよ?銀時は、やる時はやる。そこがカッコいいなって思ってたから…」
「〜っ!!っっっ!!!」
「きゃっ」
思わず抱き寄せてしまった
ちょっと照れて俯く姿が可愛すぎる!!
「…温泉、楽しみだね」
腕の中で彼女は照れ笑いしながらそう言った