第3章 坂田銀時:結婚記念日(甘裏)完結
「おいコラ、なに人の嫁とイイ雰囲気になってんだ。なに照れてんだ。勘違いすんな。お前はにとってただの無機物だ。それ以上でも以下でもない」
「無機物!?僕人間なんですけどォォォ」
「きったねェェ!新八の口から私の鮭にご飯粒が飛んだアル!!最悪アル!!その鮭よこせヨ!!ダメガネ!!」
「眼鏡は眼鏡らしく黙ってかけられてろ!っていうか、神楽!その鮭はそもそも俺のだろうが!!」
「ダメガネ言うなァァーー!!眼鏡らしくってなんだァァァ!!この鮭は僕のだァァァ」
クスクスと笑っていたさんが堪えきれず吹きだした
「っぷ!あははははははっ…!もぉっ!鮭はないけど昨日の残りものがあるから!喧嘩しないの!」
「「「…はーい」」」
いいな、やっぱりさんが居てくれると空気が柔らかくなる
この人の才能なのかもしれない
不思議な人だ
だから銀さんも好きになったんだろうな…
それは理解できる
きっと僕がもう少し大人で…同じように出会っていたなら、間違いなく銀さんとライバルになっていたと思う
でも…
ライバルになったところで、きっと僕に勝ち目はない
だって誰が見たって、どう見たってさんと銀さんはお似合いなのだから
だから二人にはこのまま仲睦まじくいてほしい
その協力なら力を惜しまない
もうすぐ二人は結婚して一年になる
お祝いもしてあげたい
銀さんいわく、当日は二人きりで温泉旅行に行くと言っていた
さすがの神楽ちゃんも一緒に行きたいとは言わなかった
(言わなかっただけで顔には出ていた、よく我慢したと思う)
銀さんは仕事をこなしつつ、常に次の案件を受けていっている
おかげで依頼は途切れることなく毎日を過ごした
銀さんの働く姿をたくさん見たさん
見直してくれているはずだ
素敵な記念日を迎えてほしい
そんな僕達の思いとは裏腹に
むしろ彼女を傷つけてしまう結果になるとは
この時、知る由もなかった