第3章 坂田銀時:結婚記念日(甘裏)完結
その日から銀さんは見違えるかのようだった
今まで依頼をくれたお客さんに連絡したり、挨拶がてら仕事がないか聞いて回っていた
僕達が思っていた以上に小さな仕事はたくさんあった
足が悪いご老人宅の電球交換
女性の一人暮らし宅での家電配線
以前捜索した猫の遊び相手
風邪をひいた主婦の家事代行
などなど…一日に数件を三人で手分けしてこなす毎日
仕事内容としてはそこまで大変ではないため、僕達が辛くなることはなかった
何よりも銀さんがほとんどこなしてくれていたからだ
「「いただきまーす!!!」」
「はい、召し上がれ」
毎日作ってくれるさんの朝ご飯が、最近は特に美味しく感じる
いつもめちゃくちゃ美味しいけど、姉上と比べてるとかじゃなくて普通にめちゃくちゃ美味しいんだけど
充実しているからか毎日が清々しい
きっとこの感じは僕だけではなくて二人もきっとそうだろう
「最近、三人とも良く食べるね?育ち盛り?…クスクス」
「銀ちゃんが成長しても天パがさらにモッサリするだけネ。だからよこせヨ、その鮭」
「んだとコラ。てめェは食っても食っても背も乳も成長してねェだろ…あ、てめ!返せ!コラ!!」
神楽ちゃんと銀さんも朝からやっぱり元気だ
程よく疲れて気持ちよく眠れてるんだろうな
まあ、この二人に関してはいつも寝てたけど
「さん、ご飯おかわりまだありますか?」
「あるよ、どれくらいにする?」
「あ、自分で入れます」
「いいよ、私の方が近いし。半分ぐらい?」
「あ…ありがとうございます。じゃあ…普通ぐらいで」
「はーい」
ササッとご飯をよそってくれた
さんはとても優しい
普通の人だ
僕達の周りではとても珍しい
だからか…この普通に優しく接してくれるところに…何だかむず痒い、言い難い気持ちになる時がある
「はい、どうぞ」
「…ありがとうございます」