第3章 坂田銀時:結婚記念日(甘裏)完結
「そう、予約取っちゃった。だからその日はお仕事入れずに空けといてね」
「あ、はい」
よろしくね、とだけ付け加えて彼女は洗濯物をしまいに和室へ行ってしまった
予約…取ってたのか
なんか悪ィことしちまったな
すっかりさっぱり忘れてたってわけじゃあないよ?
ちょっと前にふと俺も「もうじき一年だな」なんて思っちゃったりしたことがあった
かといって何かするとか、どっか行くとかは考えてなかった
やっぱも女だし記念日とかは祝いたいよな
やけに物分りが良過ぎる嫁に、その辺気づいてやれなかったな…
なんて、ちょっぴりセンチメンタルな気分になり凹んでいた
「銀時ーっ」
「んー?」
いつの間にか買い物支度を済ませたが玄関先から俺を呼ぶ
おセンチな気分にどっぷり浸かっていて全く気付かなかった
「新八くんと神楽ちゃんが帰ってくる前に夕飯用意したいから、サクッと買い物終わらしてくるねー」
「おー」
ガラガラッと玄関の扉が開く
「あっ」と小さな声が聞こえる
「どしたァ?何か忘れモンかー?」
「銀時ー、気にしなくていいからねー!温泉楽しみにしててー」
「…っ」
行ってきまーす、という声と扉を閉める音がした
なんてイイ嫁なんだ!!!
余計情けないんですけどーー!!
泣けてくるわ、もうあいつ好き過ぎて泣けてくるわ
何あの生き物!!なんなんですか!?
俺、幸せ過ぎない???
こんなマダオにここまでしてくれるなんてっ
あり得ないんですけどっ!!
「…やっぱ駄目だ、うん」
が居なくなった部屋で小さく一つ俺は呟いた