第2章 土方十四郎:俺だけを(甘裏)完結
首筋に唇を押しあて
耳たぶの下へ鼻先を触れさせ大きく息を吸い込む
の肌の匂い
俺とは明らかに違う甘いような落ち着くような
何とも言えない香りを何度も嗅ぐ
「…すぅぅ……はっ………」
俺って変態だったのか
近藤さんのこと言えねぇな
マジでたまんねぇ…
もう変態でもなんでもいい
この香り…この肌の感触…ずっと味わえんなら
なんだって構いやしねぇ
「…んんっ……ひじっ…」
「黙って嗅がせろ」
擽ったいのか恥ずかしいのか
その両方であろうは身をよじる
両腕を押さえつけたため逃げることができない
ただ顔を真っ赤にさせこの時間が過ぎ去るのを待っているのか
顔を反らしてギュッと目を瞑っている
「…嫌か?」
無理矢理こんな状況にさせといて何言ってんだ俺は
ここまでして嫌われる事を恐れている
もう遅いのに…
首筋に唇を触れさせたままへ聞くとピクンッと身体を震わせた
「やっ…あっ…」
わかっていたことだ
触れていた唇を離し、名残惜しくもの香りからも離れた
押さえつけていた両腕への力を抜き、するりと手を下げた
「悪かったな…」
悪いことなんて最初からわかりきっていた
抗えなかった俺自身に自己嫌悪で嫌になる
拒否する暇も与えずに突っ走った己の欲をへとぶつけ今さら過ぎる…
「え…あ…」
「すまねぇ…」
人に謝る時はちゃんと目を見て謝りなさい
誰の母ちゃんかわからないがよく聞くセリフ
そんなことわかってる
でも人間、本当に謝りたい時には目を合わすことができないもんだ
詫びたい、許しを乞いたいからこそ恐くて
その相手と目を合わすことができない
の視線から逃れるように俯くことしかできなかった